リフレッシュ整備

AZR60ノア・サスペンションのリフレッシュ整備 ショックアブソーバー・ステアリングラック・リヤアクスルビームブッシュ・エンジンマウント交換

平成15年式 AZR60G トヨタ ノア

新車から10年以上経過し、走行も約10万km。

 

悪化した乗り心地を改善するためのサスペンション・リフレッシュ整備を中心にご紹介します。

 

走行距離は98,887KM

10万KMまでもうすぐです。

 

劣化した部品が原因による現状の不具合

  • 路面の凸凹での突き上げ感、特に後部座席の乗り心地が悪い
  • 高速走行時の横揺れと直進性の悪化
  • 発進加速、減速停車、コーナリングでの車の動きが不安定
  • ハンドルを左右にきるとカコン・カコン音がする
  • 停車時にエンジンの振動で車内がガタガタ・ブルブルする

主な症状は以上です。

新車からの経過年数、走行距離による経年劣化の症状です。

 

特にトヨタ車のミニバン(ノア・ヴォクシー、ヴェルファイア・アルファード、エスティマなど)は足回りの劣化により乗り心地が悪化してしまいます。

 

新車から10年、10万KM走行して乗り心地や快適性が低下したお車でも、足回りを中心にリフレッシュ整備を施すことにより新車のように蘇ることが可能です。

 

今回は症状を改善するために以下のメニューでリフレッシュ整備を行います。

  • 前後ショックアブソーバー交換
  • フロントロアアームASSY交換
  • リヤアクスルビームブッシュ交換
  • ステアリングラックASSY 交換
  • エンジンマウント全数交換

 

それでは整備作業に入ります。

フロントサスペンションリフレッシュ整備

まずは車両前側のサスペンション周りとステアリングラックのリフレッシュです。

  • フロント・ショックアブソーバー交換
  • ステアリングラックASSY交換
  • フロント・サスペンション・ロアアーム交換
  • フロント・スタビブッシュ交換

フロントショックアブソーバー交換

リフトで持ち上げてタイヤを外します。

 

赤く囲ってある部分がショックアブソーバーです。

路面からの衝撃を吸収するためのパーツです。

 

ショックアブソーバーが劣化すると車の挙動が不安定になり、不快な乗り心地になります。

 

ダスカバーもご覧の通り切れてしまっています。

 

手際よく取り外していきます。

 

専用工具(スプリングコンプレッサー)を使用してスプリングを圧縮して分解します。

 

今回の交換で使用するショックアブソーバーはこちら。

 

カヤバ NEW SR SPECIAL

NEW SR SPECIALは純正ショックアブソーバと同等の形状を採用、耐久性など品質はそのままに減衰力特性を最適化することでクルマの「走る」「曲がる」「止まる」といった基本性能をしっかりグレードアップさせながら「乗り心地」とのバランスをコンセプトに開発しています。「硬くないけどシッカリ!」普段使いの軽快なカジュアルシューズを履いた感覚で安心して走れる、なんか運転がうまくなった?と思わせるショックアブソーバに仕上げています。

出典元:カヤバウェブサイトより引用

 

弊社では足回りのカスタマイズは行っておりませんが、ノーマル形状のショックアブソーバーに限り、社外品での取り扱い・交換をお受けしております。

 

今回は足回りのリフレッシュと共に基本性能のグレードアップを狙ってこちらのショックアブソーバーをチョイスしました。

その他のパーツは全て純正品を使用して交換します。

 

新車から使用している純正スプリングは、通常の使用でしたらほとんど劣化しませんので再使用します。

 

ショックアブソーバーの組み立ては終わりました。

早く装着したい気持ちを抑えて次の作業に入ります。

 

ステアリングラック交換

ショックアブソーバーASSYが外されてスペースのある状態で他の整備をします。

 

ステアリングラックを交換します。

パワステオイルの配管を外します。

 

ミッションジャッキで保持しながらセンターメンバーを少し下げていきます。

 

取付ボルトを外して車から取り外します。

 

新品のステアリングラックは高額のため、再生品(リビルト品)と交換します。

 

パワーステアリング機能は交換する必用がないのですが、取り付け部分のブッシュの経年劣化による交換です。

この部分で車に固定されていますが、4ケ所すべて劣化により破損していました。

 

車の症状としては、ハンドルを左右に刻むとカコンカコン音が出ていました。

路面のわだちや高速走行時のふらつきも発生していました。

 

この部分のブッシュのがたつきが原因です。

 

ブッシュ単体での部品供給がないため、ステアリングラックASSY再生品と交換になります。

 

フロントサスペンションロアアーム交換

センターメンバーが下りている間にロアアームの取替をします。

メンバーが下がっている状態でないと、取付ボルトが抜けません。

 

ロアアームが外れました。

 

ボールジョイントやブッシュは単品供給がないために、ロアアームもASSYで交換します。

 

経年劣化による硬化で亀裂損傷しています。

 

赤矢印の部分が切れてしまっています。

 

60系ノアの場合は一体型ロアアームのため、ボールジョイントも新品になります。

アルファードやエスティマは別部品になっています。

 

フロントスタビブッシュ交換

スタビのブッシュは2年ほど前に交換してありますが、高価な部品ではないので、今回の作業ついでに交換しました。

 

 

フロントサスペンションリフレッシュ完成

フロント・ショックアブソーバー

 

フロント・サスペンション・ロアアーム

 

外した部品を交換して前側のサスペンションリフレッシュは終了です。

 

リヤサスペンションリフレッシュ整備

ここからは車両後部、リヤサスペンションのリフレッシュに入ります。

  • リヤアクスルビームブッシュ交換
  • リヤショックアブソーバー交換

リヤアクスルビームブッシュ交換

リフレッシュするのは矢印の部分です。

 

近づいてみました。

まるで囲ってある部分です。

 

下から覗いてみるとこうなります。

 

右後輪と左後輪がひとつの巨大なアームでつながっているのがわかります。

 

このアームと車をつないでいるのは付け根にある2つのブッシュです。(赤丸で囲ってあるパーツです)

 

このブッシュが劣化して硬化すると乗り心地と走行性能に悪影響を及ぼします。

 

右側のブッシュは亀裂が確認できます。

 

当然ですが、左側も亀裂が発生しています。

 

このブッシュを交換するにはリアアクスルビームを外す必要があります。

 

さらに、ブッシュを抜き差しするためには専用の工具とノウハウが必要です。

 

ディーラーでもやらない作業になります。

 

それでは作業を開始します。

 

マフラーがアクスルビームの真下を通ていますので、外しておきます。

 

他の付属品もすべて外してジャッキで支えます。

 

付け根のボルトを外してアクスルビームを車から外します。

 

車の外へ移動してブッシュを抜き取ります。

 

抜けました。

 

ブッシュ全周に亀裂が入っています。

 

左:新品ブッシュ

右:外したブッシュ

 

外したブッシュはアクスルビームの重みでセンターがずれてしまっています。

 

新品ブッシュと交換しました。

 

リヤスプリングのアッパーシートも交換します。

 

細かいパーツですが、乗り心地に影響するパーツはせっかくなのですべて交換します。

 

なんとか交換作業が終わりました。

 

新品ブッシュは見ていて気持ちいいいです。

 

リヤ・ショックアブソーバーの交換

リヤアクスルビームを降ろしている間にリヤショックアブソーバーの交換をします。

赤い部分がリヤショックアブソーバーです。

 

リヤショックアブソーバーはフロントに合わせてカヤバの NEW SR SPECIAL へ交換します。

 

 

リヤアクスルビームブッシュ交換と同時作業の場合に限り、リヤショックアブソーバーは交換工賃がかかりません。

 

リヤアクスルビームブッシュ交換後は仮締めして走行試運転。その後、一度緩めて、1G状態で締め付けします。

専用工具を使用してメーカー規定値で締め付けしています。

 

車両をリフトで上げた状態でブッシュを締め付けてしまうと、接地時に無理な力がかかりブッシュの寿命を縮めてしまいますので忘れずに行います。

 

以上でリヤサスペンションのリフレッシュ整備は終了です。

 

エンジンマウント交換

アイドリング状態で室内までエンジンの振動が伝わってきます。

カタカタ カタカタ・・・。乗っていて不快そのものです。

 

その原因はこちら。

エンジンマウントです。

 

 

エンジンは車に対して直接ボルトで固定されていません。

エンジンの振動を吸収する目的で、ゴムを介して固定されています。

 

そのゴムが経年劣化により硬化してしまうと振動を吸収できずに室内まで振動してしまうのです。

 

エンジンマウント交換で新車のように快適な車になります。

※エンジンが何かしらの原因で振動している場合はエンジンの修理も必要です。

 

交換するエンジンマウントは4か所。

 

後ろ側のマウント交換

ひび割れが確認できます。

 

エンジン前側のマウント交換

亀裂あり、変形あり

 

エンジン右側のマウント交換

エンジンの重みでつぶされ低くなっています。

 

ミッション側のマウント交換

ボルト穴がエンジンの重みで下方向へ下がっています。

 

 

ここまで交換すると、室内への振動はほとんど伝わってきません。

走行時も室内は大変静かになります。

 

 

以上でAZR60Gノアのリフレッシュ整備は終了になります。

 

 

リフレッシュ整備後の変化

  • 発進加速、減速停車、コーナリング、車両の動きがスムーズになった
  • 路面からの突き上げ感が減った
  • 乗り心地が良くなった
  • 直進安定性が良くなった
  • エンジンの振動が静かになった

 

新車のような快適性に蘇りました。

 

作業前は、ショックアブソーバーをカヤバ NEW SR SPECIAL へ交換するにあたり乗り心地が多少は犠牲になるかなと思いましたが、純正品よりもすこし硬い程度で、スポーティな走りが楽しめるようになりました。

 

コーナリングと高速走行時の安定性が新車以上になりました。

 

走り好きの方や高速走行での長距離ドライブを楽しみたい方へおすすめのショックアブソーバーです。

 

通常は、ノーマル純正品での交換をおすすめしております。

 

 

この車はオートサプライ鈴木のデモカーですので、試乗可能です。

リフレッシュ整備に関して詳しくはこちらもご覧ください。

 

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