マツダCX-5 KE2FW
クリーンディーゼル SKYACTIV-D2.2搭載車
平成25年8月登録のお車です。
千葉県浦安市からご入庫いただきました。
「DPF内にPMが堆積しています」とDPFエラーの表示があったので、ドライアイス洗浄によるエンジンの吸気系カーボン除去とDPF洗浄を希望されて今回の入庫となりました。
入庫時の走行距離は109,030KM
依頼内容は以下の通りです。
- DPF洗浄
- ドライアイス洗浄によるエンジン吸気系カーボン除去
- トルコン太郎によるATF交換
- エンジンオイル・オイルエレメント交換
- ワイパーゴム交換
作業内容が多いので3回に分けてご紹介します。
CX-5まとめてリフレッシュパート1はDPF洗浄からご紹介します。
DPF洗浄とは
DPF洗浄とは、走行中に作動する「自動DPF再生」や診断機を使用して行う「強制DPF再生」ではなく、添加剤や洗浄液を使用してDPF内部に堆積しているPMを除去することをいいます。
DPF洗浄にはお手軽なものから難易度の高いものまで様々なタイプのものが存在します。
- 燃料に混ぜて使用する添加剤タイプのもの
- DPFの差圧パイプやセンサーを外して泡状の洗浄剤をスプレーするタイプのもの
- DPFを車から取り外して洗浄液を使用するタイプのもの
- DPFを切断して洗浄液を使用、洗浄後は溶接してもと通りに組み立てるもの
簡単に分けると上記1.~4.になります。
1.から4.の順に難易度が高くなりますが、洗浄効果も高まると考えられます。
店主の個人的な感想としては、4.の切断して洗浄する方法がもっとも洗浄効果が高いと思います。
しかし、難易度が高く、まだまだオートサプライ鈴木での導入は先になりそうです。
また、切断したものが溶接でもと通りになるのかと心配される声を多く聞きます。
オートサプライ鈴木のDPF洗浄は3.に該当します。
DPFを車から取り外して付属品を分解、洗浄液を流し込んで内部に詰まったPMとアッシュ(灰分)を除去します。
ドライアイス洗浄による吸気系カーボン除去を始めてから「DPF洗浄」のお問い合わせも多くいただくようになりました。
実は、お問い合わせいただいた方限定で数か月前からDPF洗浄をテストいう形で受付しておりました。
まだテストでの施工となりますが、ほぼ完成しましたので正式に受け付けを開始します。
今回は実際のDPF洗浄作業をご紹介いたします。
事前チェック
入庫したお車は、いきなりDPFを取り外したりはしません。
事前に「走行試運転」と「外部診断機による故障コードチェック」を行います。
今回ご紹介するCX-5はチェックランプが点灯してしまっていますので慎重にみていきます。
イグニションONにすると、
「エンジンシステム点検」「DPF点検」、
メーターパネルには「チェックエンジンランプ」が点灯しています。
外部診断機を使用して故障コードを点検をします
DPFにPMが堆積しているとのことです。
しかも、DPF過堆積(許容量超え)と・・・・。
出典元:マツダエレクトロニックサービスマニュアル
マツダサービスマニュアルで確認すると
PM堆積量10.0~17.0g/Lで「強制DPF再生」、17.0g/Lで「DPF交換」となっています。
ライブデーターを確認します。
アイドリングでは基準値を下回るPM堆積量5.98g/L。
しかし、エンジン回転を2,000rpmまで上げると瞬く間に数値上昇。
17.0g/Lを超えてしまいました・・・。
この数値はマツダサービスマニュアルによると「DPF交換」になります。
試しに「強制DPF再生」を実行しましたが、エラーになり実行できません。
つづいて、エンジンの調子を確認するため、走行試運転をします。
お客様のお住いの千葉県からオートサプライ鈴木まで自走行でお越しいただいておりますので、普通に走れるはずです。
エンジン低回転域では思いのほか普通に走りますが、アクセルを踏み込むと通常よりかなりパワーダウンしている様子です。
ターボが全く効いていないかのようなエンジンパワー。
SKYACTIV-D2.2とは思えない、昔のディーゼルエンジンのようです。
これは何かありそうな不安を残し試運転を終えました・・・。
どれだけのPMカーボンが堆積しているのか不安です。
「DPF交換」が望ましい、というか交換が当然なのかもしれませんが、テストを兼ねてお客様が希望されている「DPF洗浄」を選択しました。
洗浄のためのDPFを取り外し
DPFはSKYACTIV-D2.2エンジンの後方に装着されています。
画像はCX-5ですが、以前施工したアテンザの時はもっと狭くて苦労しました。
遮熱板やカバーなど取り外すものがたくさんあります。
狭くて工具がうまく入らす毎度大変な思いです。
狭いすき間から知恵の輪のように操り、DPFを車から取り外しました。
エンジンからの排気ガスが入るDPFの入口側の様子です。
カーボンで真っ黒です。
こちらは反対側のDPF出口側です。
カーボンがまったく付着していません。
エンジン排出ガス中のPMをほぼ全て除去しています。恐るべしDPF性能。
取り外したDPFを分解
DPFから遮熱板と各種センサー、差圧パイプを取り外します。
DPF入口のガスケットとパイプも取り外します。
DPFの洗浄
洗浄の準備ができました。
DPF本体は、切断をしませんのでこの状態から洗浄します。
エンジン側はカーボンで真っ黒です。
画像のDPF出口側から水道水を流しますが、ほどんど出てきません。
かなりの詰まりがありそうです。
DPFを洗浄機にセットして洗浄液を流し込みます。
洗浄液を流すと真っ黒なカーボンが噴出してきました。
DPF内部の詰まりは想像通りひどい状態。
長時間の洗浄が必要でした。
洗浄後は、水道水と圧縮エアーを使用して内部の洗浄液と水分を排出します。
この作業で、DPF内部に残っていたPMと大量のアッシュ(灰分)が出てきました。
水道水も圧縮エアーも流れるようになって洗浄終了です。
DPF組付け
遮熱板と付属品を組付けます。
洗浄後のDPF入口の様子です。
真っ黒だったカーボンもきれいになりました。
DPF内部にはまだ湿気が残っています。
圧縮エアーを使用してDPF内部に残った水分を飛ばしていますが、すべて除去することはできません。
車に取り付けてエンジンをかけながら乾燥させていきます。
DPF出口側は洗浄前からきれいでしたが、さらにきれいになりました。
ガスケット類は新品に交換します。
狭いすき間を知恵の輪のように操り、DPFを車両に取り付けます。
この後、エンジンを始動してDPF内部の湿気をしっかりと乾燥させていきます。
乾燥が終わり、外部診断機を接続してKOEO/KOERセルフテスト、燃料噴射量学習、強制DPF再生をしていきます。
強制DPF再生を実施して堆積量が0.0g/Lになりました。
最後に故障コード確認をして無事にDPF洗浄終了となりました。
DPFは「交換」か「洗浄」か?
今回ご紹介した不具合は、マツダサービスマニュアルに沿った整備をするならばDPFを交換するべき事例ですが、あえてテストを兼ねてDPF洗浄を実施してました。
結果としては、良好な状態に戻すことができましたが、すべてのケースで当てはまる訳ではありません。
DPF交換が必要になるケースも充分に考えられます。
DPF交換が必要になるまで放置するか、
予防整備としてDPF洗浄を実施するか。
判断に迷うところではありますが、洗浄を希望されるオーナー様の期待に応えられるよう準備しております。
今回はDPF洗浄とドライアイス洗浄機による吸気系カーボン除去、トルコン太郎によるATF圧送交換を同時に施工させていただきました。
ドライアイス洗浄による吸気系カーボン除去
トルコン太郎によるATF圧送交換
DPF洗浄を終えてからは別物になりました
整備後の走行試運転は感動的でした。
新車の時はこうだったのだろうという走り。
エンジンパワーもよみがえり、それを受け止めるATも快調そのもの。
新車のようなコンディションになりました。
マツダCX-5のDPF洗浄のお預かり期間は約1週間、費用はFF車約10万円、AWD車約15万円となります。
同型エンジン搭載のアテンザ、アクセラも同様の施工が可能です。
ドライアイス洗浄による吸気系カーボン除去を同時施行でより効果的になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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