ドライアイス洗浄

【ドライアイス洗浄】マークX GRX130 走行距離5万KMの4GR直噴エンジンの吸気系カーボン除去

平成22年式 マークX GRX130

4GR直噴エンジンの吸気系カーボン除去ドライアイス洗浄のご依頼です。

 

埼玉県三郷市からご入庫いただきました。

 

現在の走行距離は55,865KM

走行距離は少な目。

カーボンがどの程度堆積しているのか楽しみです。

 

それでは作業前の事前チェックから開始します。

 

走行試運転へ。

 

オートサプライ鈴木の周辺を10分程度走行します。

エンジンのフィーリングは良好です。

 

作業場へ戻り外部診断機を接続して故障コードを確認します。

過去異常で始動不良が入っていましたが、その他の故障コードなし。

 

排気ガスの状態もチェックしておきます。

CO HC ともにゼロ。

排気ガス浄化は極めて良好な状態です。

 

それでは、作業にとりかかります。

 

今回、マークXのドライアイス洗浄は初めてですが、

以前クラウンの同型エンジン4GRの洗浄をしていますので手際よく分解していきます。

 

エンジンのカバーを外します。

 

サージタンクとご対面です。

吸気ダクトを外します。

 

スロットルバルブとご対面です。

バルブの周りがカーボンで黒くなっているのがわかります。

 

スロットルボディを外します。

 

サージタンクを外します。

 

 

マニホールドとご対面です。

オイルが付着していますがブローバイガスによるものです。

オイル漏れではありませんので心配ありません。

 

マニホールドの内部を覗いてみます。

この先が吸気ポートですが暗くて良く見えません。

 

マニホールドを外します。

 

いよいよ吸気ポートとご対面です。

V型6気筒、12個もポートがあります。

 

ポート入口はきれいな状態でカーボンの付着が全くありません。

過去に洗浄した直噴GR系エンジンのなかでも一番きれいです。

 

マニホールドを裏返してポート側を確認。

 

他の施工事例ではこの部分にカーボンが固着していましたが、

こちらのお車は付着がごくわずかしかありません。

 

この調子ならインテークバルブもきれいな状態でしょう・・・。

 

 

ポートから吸気バルブを覗きます。

 

 

 

!!!!!

バルブにはしっかりとカーボンが堆積・固着しているではありませんか!

 

 

5万5千KMの走行で、12ポートすべてのバルブにしっかりとカーボンが堆積・固着しています。

 

 

マニホールドやスワールコントローブバルブ、吸気ポート入口へのカーボン固着がなかったので、吸気バルブもきれいであろうという軽い気持ちを吹き飛ばしてくれました。

 

 

10万KM走行している車両と比較すれば量は少ないですが、気合を入れて除去していきます。

 

 

 

ドライアイス洗浄機の準備をします。

 

グリーンテック・ジャパン ドライアイスパワーGT-110

新車が買えるくらい高額な次世代洗浄機です。

 

少しずつ準備を重ね、やっと導入できました。

関東圏でのドライアイス洗浄が可能になり、施工実績も徐々に増えています。

 

ドライアイスで洗浄できるのはなぜ?

ここで改めて、ドライアイスでカーボンを除去できるのはなぜ?を考えてます。

初めてご覧になる方もいるかもしれませんので、念のため。

剥離の原理

  1. 圧縮空気を使用して高速で粒状のドライアイスペレットを洗浄物へ吹き付ける。
  2. -79 ℃のドライアイスにより洗浄物の表面温度が急激に低下し、熱収縮(サーマルショック)によって付着力が弱まる。
  3. 付着物と洗浄物の隙間にドライアイスが入り込み急激に気化し750倍の体積膨張が発生する。
  4. この体積変化により付着物が洗浄物から剥がれる。

ほほ~う。

そういう仕組みなのですね。

画像出典元:グリーンテックジャパン

 

ドライアイス洗浄のメリットは?

  1. ドライアイスペレットは指で押し潰せる程度の硬さのため、洗浄物(母材)を傷めることなくノーダメージで洗浄ができる。
  2. ドライアイスは固体から気体へ昇華するため、洗浄剤などが残らず時間のかかる後処理が不要。
  3. インテークバルブのカーボンを除去するためには、エンジンシリンダヘッドの分解オーバーホールが必要であるが、ドライアイス洗浄ならオーバーホールは不要。
  4. エンジン分解オーバーホールに比較して短時間でカーボン除去が可能。
  5. ドライアイスは工場プラントから排出されたCO2を再利用しているため環境に優しい。

ドライアイス洗浄のデメリットは?

  1. 機械設備が高額で導入が困難。
  2. 圧縮空気をつくるコンプレッサーが一般的な整備工場のものでは役不足(大型コンプレッサー買い替え要)。
  3. 材料のドライアイスの長期保存ができない(保冷庫に入れても3日程度で気体になって消えてしまう)。

デメリットは全て我々事業者側の問題で、お客様へデメリットはないと思われます。

施工費用が高額だと感じられるかもしれませんが、エンジンシリンダヘッドの分解オーバーホールに比較すれば半分以下の費用で済んでしまうのです。

 

粒状のドライアイス。

ドライアイスペレットといいます。

温度は-79℃、直径は3mmで指で押し潰せる程度の硬さなのです。

 

ドライアイスペレットを洗浄機に流し込み準備完了です。

 

インテークバルブ洗浄開始

エンジンから噴き出てくるカーボンで車が汚れないように厳重に養生し、インテークバルブを狙ってドライアイスを吹き付けます。

 

 

ドライアイスが当たるとカーボンが剥がれて吹き飛びます。

 

このような塊がポートから吹き飛んできます。

 

 

さらに吹き続けると・・・。

このような感じできれいになってきます。

画像で見ると簡単そうですが、実は大変な作業です。

 

ドライアイスを吹き付けている時はポート内部の様子が全く見えません。

吹き付けては覗いて確認、ノズルの角度を変えてまた吹き付け確認の繰り返し・・・。

 

ポートがエンジンルームの真ん中にありますので無理な体勢での作業が強いられます。

数時間のドライアイス洗浄作業で翌日は腰痛、全身筋肉痛です。

 

それでも、エンジンシリンダヘッド分解オーバーホールに比べたら1/5くらいの時間で済んでしまうのではないかと思います。

 

インテークバルブ洗浄完了

すべてのバルブがきれいに洗浄できました。

ノズルの選択や、その他様々な工夫をして洗浄しています。

 

オプション整備 スパークプラグ交換

ドライアイス洗浄と同時にスパークプラグ交換をご依頼いただきました。

交換するスパークプラグは NGKスパークプラグPremiumRX。

着火時の火炎の広がりが早く、抜群の燃焼効率を発揮。

素早い燃焼はシリンダー内の燃焼ロスを抑え、燃費・パワー・加速などエンジンの性能を最大限に引き出し、プレミアムな走りを実現します。

簡単にいうと、エンジンパワーがアップします ということです。

 

イリジウムや白金プラグは10万KMごとの交換と指定されていますが、ドライアイス洗浄と同時に予防整備として交換をおすすめしております。

スパークプラグ交換はドライアイス洗浄のオプション作業になりますが、サージタンクを外した状態での作業になるため、同時作業でスパークプラグ交換工賃が割安になります。

 

左 新品のプレミアムRXプラグ

右 車から取外したノーマルプラグ

 

RXプラグは独自形状をしています。

この形状が抜群の燃焼効率を発揮します。

実は、お値段も純正プラグとほぼ同額です。

気軽に高性能プラグへアップグレード可能です。

 

スパークプラグ交換が終わりました。

 

組み付け作業開始

インテークマニホールド

きれいに洗浄されたインテークマニホールド。

 

ガスケットも新品に交換します。

メーカーの規定トルクで正確に締め付けします。

 

サージタンク

サージタンク内壁にはブローバイガスによりオイルが付着します。

 

そのオイルを洗浄液で洗い流します。

 

 

ガスケットも交換して準備OK。

 

ここもトルクレンチで正確に締め付けします。

 

スロットルボディ

電子スロットルの車両は定期的に洗浄をすることで安定したアイドリングが得られます。

 

周りの黒くなっているところがカーボンです。

 

洗浄には専用クリーナー『ワコーズ・スロットルバルブクリーナー』を使用。

さすが『業務用』本当にきれいになります。

 

洗浄完了です。

 

エンジンへ組み付けします。

もちろんガスケットも新品交換。

 

スロットルボディ組み付け完了です。

 

いよいよエンジン始動!

コントロールコンピューターの初期化も済んでエンジン始動!

 

キュッ キュッ キュッ キュッ ブル~ン!

一発でエンジンがかかりました。

 

エンジンの回転が落ち着くまで待ちます。

 

外部診断機を使用して故障コードを確認します。

故障コードなしです。

 

それではお次は走行試運転です。

 

走行試運転

エンジンの回転数が落ち着いてきたら、いよいよ走行試運転です。

 

走行試運転では、低回転域から高回転域まで様々なパターンでエンジンの状態を確かめます。

 

施工前も良好な状態でしたが、低回転域から高回転域までさらにスムーズに回るようになっています。

例えるなら、少し排気量が大きくなった感覚です。

 

作業場へ戻り、再度故障コードと排気ガスのチェックを行い問題がないことを確認してお客様へお車ご返却となります。

 

今回のケースでは2泊3日でのお預かりになりました。

 

ドライアイス洗浄、やる?やらない?

インテークバルブに付着したカーボンが、エンジン燃焼室に吸い込まれる空気の流れを邪魔してしまいます。

その結果、直噴エンジンのメリットである効率の良い燃焼ができなくなってしまうのです。

 

カーボンを除去すると、吸入される空気の流れ方は新車の時と同じ状態になり燃焼効率が上がりパワーが蘇るというわけです。

 

わざわざ費用をかけてまで、バルブに付着したカーボンを除去する必要もないかもしれません。

決して故障ではありませんし、普通に走れますからね。

 

ドライアイス洗浄は、『新車の時と同じようなパフォーマンスを保ちたい』というこだわりのある方のためのサービスです。

 

『精神衛生上、施工して本当に良かった』というお言葉を多くいただいております。

 

 

トヨタの直噴GR系エンジン搭載車のカーボン除去にお悩みの方はお気軽にお問合せください。

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