平成25年式 マツダCX-5 KE2FW
スカイアクティブ ディーゼル2.2リットル
SHエンジンンの吸気系統のドライアイス洗浄のご依頼です。
千葉県松戸市からご入庫いただきました。
新車購入からから6年、現在の走行距離は62,791KMです。
『同型CX-5のエンジンのカーボンをみんカラ等で見て、自分も除去して新車当初のようにすっきりしたい』というご要望でした。
受付・問診した後にお車をお預かりいたします。
事前チェック
それでは早速事前チェックから開始します。
走行試運転
外部診断機を接続して走行試運転へ行ってきます。
CX-5に搭載されるSHエンジン、実にパワフルなエンジンです。
数年前に初めて運転した時の驚きと感動を今でも鮮明に覚えています。
試運転の結果、エンジンが低回転から高回転までスムーズに回り良好な状態です。
カーボン除去後の変化に期待が高まります。
故障コードチェック
外部診断機による故障コードのチェックをします。
エンジンの故障コードはなし。
現在のエンジンの状態を表示するデーターモニターを確認・記録して作業に入ります。
今回ご入庫いただいたCX-5。
カスタムパーツ多数ですが、作業性は悪くなくノーマル車同等です。
マツダ スカイアクティブ ディーゼル2.2リットル SHエンジン
分解作業開始
インタークーラーから外します。
リフトでCX-5を持ち上げます。
アンダーカバーを外します。
外されたアンダーカバー
バンパーもアッシーで外します。
その目的はこれ。
インタークーラーを取り外します。
社外品の大型インタークーラーが装着されています。
純正ノーマル品の2倍くらいの容量がありそうです。
TRUST製GReddyですね。
交換してまだ1年しか経過していないそうですが、内部はブローバイ・オイルでベトベトです。
一部液状になって溜まっています。
インタークーラーの出口を下に向けるだけでオイルが出てきました。
このまましばらく放置してオイルを自然落下させます。
吸気系とEGR系統
インタークーラーの次は吸気系とEGR系統を分解していきます。
EGRパイプ
EGRパイプを外します。
EGRパイプは『EGRクーラー』から『EGRバルブ』へつないでいます。
EGRバルブ
EGRクーラー
今回の作業では洗浄を予定していない部分ですが、内部の具合はどうでしょうか。
暗くて良く見えません・・・。
ライトを当ててみるとカーボンが大量に付着しているではありませんか。
EGRガスを冷やすためのフィンがカーボンまみれです。
この状態はクーラーとして正常に機能しているのか疑問です。
EGRクーラー外観です。
そもそも『EGRクーラーって何だどう?』ということで調べてみました。
目的・機能
インテーク・マニホールドに再循環される排気ガスを冷却水により冷却することで吸入空気の充填効率を向上させ、黒煙の排出を抑制させながらより多くの排出ガスを再循環させることができます。これによりNOxの低減を図っています。
構造
EGRクーラは、ミッションの上方に取付けられています。
EGRクーラは、EGR通路と冷却水通路で構成されています。
マツダ・エレクトロニック・サービスインフォメーションより引用
なるほど。
これは正常に機能していれば問題ないが、そうでない場合は問題である。
ということで、EGRクーラーも今回の作業で一緒に洗浄することにしました。
初めてのEGRクーラーの洗浄。
どんな効果が出るのか楽しみです。
EGRバルブ
カーボンが付着してはいますが問題ないレベルですね。
EGRクーラーバイパスバルブ
こちらも問題ないレベルです。
インテークマニホールド
ポートとの合わせ面側にはカーボンが少な目です。
入口側はどうでしょうか。
吸気シャッターバルブを取り外します。
中を覗いてみましょう。
大量のカーボンが堆積しています。
空気の通り道の半分以上は埋まっています。
これでもパワフルに走れてしまうエンジン。
関心してしまいます。
インテークマニホールド内のEGRパイプを抜き取ります。
大量のカーボン。
手作業で除去していきます。
エンジンのポート側の確認
ポート入口はカーボンの堆積は少ないです。
ポートの奥はどうでしょうか。
内部を覗いてみます。
ポート内部はカーボン多めです。
しっかり洗浄してきれいにします。
洗浄準備開始
ドライアイス洗浄に備えて車両前方とエンジンルームを養生します。
インテークバルブの確認
スコープを使用して目視できないインテークバルブを確認します。
ポート入口のカーボンは少な目でしたが、インテークバルブには大量のカーボンが付着しています。
いよいよドライアイス洗浄機の登場です
分解と養生がすみましたので、ドライアイス洗浄機を準備します。
グリーンテック・ジャパン ドライアイスパワーGT-110
新車が買えるくらい高額な次世代洗浄機です。
少しずつ準備を重ね、やっと導入できました。
関東圏でのドライアイス洗浄が可能になり、施工実績も徐々に増えています。
ドライアイスで洗浄できるのはなぜ?
ここで改めて、ドライアイスでカーボンを除去できるのはなぜ?を考えてます。
初めてご覧になる方もいるかもしれませんので、念のため。
剥離の原理
- 圧縮空気を使用して高速で粒状のドライアイスペレットを洗浄物へ吹き付ける。
- -79 ℃のドライアイスにより洗浄物の表面温度が急激に低下し、熱収縮(サーマルショック)によって付着力が弱まる。
- 付着物と洗浄物の隙間にドライアイスが入り込み急激に気化し750倍の体積膨張が発生する。
- この体積変化により付着物が洗浄物から剥がれる。
ほほ~う。
そういう仕組みなのですね。
画像出典元:グリーンテックジャパン
ドライアイス洗浄のメリットは?
- ドライアイスペレットは指で押し潰せる程度の硬さのため、洗浄物(母材)を傷めることなくノーダメージで洗浄ができる。
- ドライアイスは固体から気体へ昇華するため、洗浄剤などが残らず時間のかかる後処理が不要。
- インテークバルブのカーボンを除去するためには、エンジンシリンダヘッドの分解オーバーホールが必要であるが、ドライアイス洗浄ならオーバーホールは不要。
- エンジン分解オーバーホールに比較して短時間でカーボン除去が可能。
- ドライアイスは工場プラントから排出されたCO2を再利用しているため環境に優しい。
ドライアイス洗浄のデメリットは?
- 機械設備が高額で導入が困難。
- 圧縮空気をつくるコンプレッサーが一般的な整備工場のものでは役不足(大型コンプレッサー買い替え要)。
- 材料のドライアイスの長期保存ができない(保冷庫に入れても3日程度で気体になって消えてしまう)。
デメリットは全て我々事業者側の問題で、お客様へデメリットはないと思われます。
施工費用が高額だと感じられるかもしれませんが、エンジンシリンダヘッドの分解オーバーホールに比較すれば半分以下の費用で済んでしまうのです。
粒状のドライアイス。
ドライアイスペレットといいます。
温度は-79℃、直径は3mmで指で押し潰せる程度の硬さなのです。
ドライアイスペレットを洗浄機に流し込み準備完了です。
吸気ポート洗浄開始
ポート内部へ吹き付けていきます。
ドライアイスペレットが当たった部分は簡単にカーボンが剥がれていきます。
大きい塊も吹き飛んできます。
洗浄完了
吸気ポート
数時間の格闘した結果、きれいにカーボンが除去できました。
インテークマニホールド
吸気シャッターバルブ
EGRバルブ
EGRバイパスバルブ
EGRクーラー
EGRパイプ
吸気系とEGR系統の洗浄終了
インタークーラーの洗浄
内部を洗浄液を吹き付けオイルを洗い流します。
洗浄液と一緒に出てきたオイルです。
きれいになったか中を覗いてみましょう。
きれいになりました。
組み付けを開始
洗浄が済みましたので各パーツを元通りに組み付けます。
各部のボルトやナットはメーカー指定値で締め付けしています。
組み付け完了です。
外部診断機を接続してリセットしてからエンジンを始動します。
故障コードチェックします。
問題なし。
インジェクター噴射量学習の後、走行試運転へ
洗浄後の変化はどうでしょうか。
調子を確認しながら走ります。
エンジンの回転が軽くなった感じがしますが、周囲の車の流れに合わせた走りでは劇的な変化は感じられません。
しかし、強めにアクセルを踏み込み加速すると、力強くなっているのが体感できます。
作業場へ戻り各部チェックをします。
故障コードなし。
すべての作業を終えてお客様にご返却となりました。
スカイアクティブ ディーゼル2.2エンジンのカーボン除去にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
お客様の声をいただきました
本来のパワフルさをとり戻しとくに高速時のふけ上がりは最高です。
鈴木社長、先日はお世話になりました。
CX-5のドライアイス洗浄は2台目という事でしたので安心して依頼が出来ました。HP上でも、初日でも先例、事例の詳細な説明があり信頼できる店だと思いました。
現在、車の調子は本来のパワフルさをとり戻し、とくに高速時のふけ上がりは最高です。
お願いして、本当に良かったと思います。ありがとうございました。
アンケートのご協力ありがとうございました。
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