平成18年式 アルファード MNH10W
リフレッシュ整備のご依頼です。
作業の内容は以下の通りです。
- リヤアクスルビームブッシュ交換
- 前後ブレーキキャリパーOH
- エアコンガスリフレッシュ
- ATF圧送交換
作業内容が多いので3回に分けてご紹介している第2弾。
リフレッシュ整備パート2は前後ブレーキOHのご紹介です。
パート1で実施した事前チェックによる走行試運転の結果は良好。
ブレーキの効きが悪いとかではなく、あくまでも予防整備としての作業になります。
今回のブレーキリフレッシュ整備ですが、ブレーキパット交換・ディスクローター交換・研磨とキャリパーOHをします。
通常の車検では、キャリパーのOHまで実施することはほとんどありません。
10年10万KM走行したお車の場合、ブレーキは正常に機能していても、キャリパーの内部は相応に劣化しています。
ブレーキのリフレッシュ整備、キャリパーOHを紹介します。
ブレーキOHをご紹介する前に「OH」って何?
という方のために簡単にご説明しておきます。
「OH」とは「オーバーホール」を略した表現です。
「オーバーホール」って何?になる方のために改めて調べてみました。
オーバーホール(英語: Overhaul)とは機械製品を部品単位まで分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に戻す作業のことである。
通常の点検作業では出来ない清掃作業や劣化部品の交換、調整を主目的とする。
一般的には、使用される部品に対して、時間や距離などの耐用限度を想定し、その想定に基づいた間隔で行われる点検である。メリット
部品単位まで分解を行うため部品単位の点検、交換が容易になる。
交換される部品によっては新規に改良を加えた物を使用することが容易になり、製品製造時より信頼性が上がることもある。デメリット
機械を細かく分解するため、多くの手間と時間がかかる。
再組み立ての際、ある程度の技術と知識を伴う。
1回あたりの費用が高い。
元の部品と同じものが製造中止になっている場合がある
出典元:ウィキペディア
「オーバーホール」という言葉が自動車だけでなく、鉄道車両や航空機にも使われているため、自動車整備と合致しない部分もありますが大体の意味は伝わりましたでしょうか。
要するに「部品単位まで分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に戻す作業のこと」ですね。
それでは早速、前後ブレーキのオーバーホール作業を開始します。
ブレーキの構成部品をひと通りリフレッシュします。
内容は以下の通りになります。
- ブレーキパット交換
- ディスクローター研磨(前側は交換)
- ブレーキキャリパーのオーバーホール
それでは作業に入ります。
リフトで持ち上げタイヤを外します。
右の前ブレーキです。
キャリパーを外してブレーキパットを外します。
内側のブレーキパットが偏摩耗していました。
原因はこれ。
ディスクローターのサビです。
パットとの当たり面の半分がサビてしまっています。
沿岸部や凍結防止剤を使用している山間部で使用している車両によく見かける症状です。
平野部で使用していても、冬場の山間部を走ったあとに凍結防止剤の洗浄を怠ると、このような状態になってしまうことがあります。
ディスクローターは研磨の予定でしたが、ここまで錆が奥深くまで入り込んでしまっていては交換するしかありません。
お客様へ連絡をとって交換の承諾をいただきました。
次に、後のブレーキの状態です。
後のブレーキも錆が発生していますが、こちらは研磨で問題ありません。
ブレーキキャリパーを車から取り外します。
前側のキャリパーです。
車検の時にゴムブーツをめくって内部の確認をしますが、画像の通り、ピストン内部の状態まではわかりません。
ブーツをめくって見える部分に問題がなくても、内部はサビてしまっていることもあります。
ピストンを抜き取りました。
古いグリスの固着と軽度のサビが発生しています。
10年10万KM使用したお車はキャリパーのOHをおすすめします。
ブーツやシールを外していきます。
キャリパー内部の状態です。
続いて後側のキャリパーを分解していきます。
前側キャリパーよりもサイズが小さいです。
内部はどうでしょうか。
後側も前側キャリパー同様、内部のピストンは古いグリスの固着と軽度のサビが発生しています。
4ケ所すべての分解が終わりました。
ここからは洗浄作業になります。
分解されたキャリパー
キャリパーは高圧洗浄機で汚れや古いグリスを洗い流します。
ピストンの洗浄をします。
ピストンはクリーナーを使用して汚れを落としながらサビを取り除きます。
前側ピストンの洗浄作業
洗浄前
洗浄後
シールの当たり面がここまできれいになります。
つづいて後のピストンの洗浄です。
後のピストンもクリーナーを使用して汚れを落としながらサビを取り除きます。
洗浄前
洗浄後
キャリパーとピストンの洗浄が済みました。
次は組み立て作業です。
交換に使用するシールキット。
ひとつずつ丁寧に組み立てます。
部品単位まで分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に戻すキャリパーのオーバーホールが終わりました。
続いてディスクローターの交換と研磨です。
表面が波打ってますが、この程度なら研磨で再生可能です。
しかし、ここまでサビが奥深くまで入り込んでしまうと研磨による再生は不可能。
前側のディスクローターは交換になります。
お客様のご要望で交換に使用するディスクローターとブレーキパットはディクセル製です。
※オートサプライ鈴木はディクセル正規取扱い店になりました。
新品のローターはサビ止めとしてシルバーに塗装されています。
続いて後のディスクローターです。
こちらも表面は波打っていますが、研磨で再生します。
国産の研磨機で丁寧に再生していきます。
きれいにフラットになりました。
続いてブレーキのマウントを洗浄とシール交換をします。
スライドピンが入る部分の古いグリスを除去して洗浄します。
スライドピンのグリスを交換します。
前側の完成です。
続いて後側の作業です。
後側も完成です。
前側ディスクローターとブレーキパットの交換です。
ディスクローターがサビてしまって
ブレーキパットがこのように摩耗してしまっていたので
ブレーキパットは交換になりました。
交換に使用するブレーキパットはディクセルECタイプ。
ブレーキパットの新旧比較。
厚みのある方が新品で残量は10.0mmです。
ブレーキを使用するたびに少しずつ減っていきます。
4.0mm程度になったら交換をおすすめしています。
耐熱性の鳴き止めグリスがブレーキパットに付属してきます。
キャリパーとの当たり面に塗布します。
続いて後側のブレーキパットとディスクローターを組み付けします。
パット残量は5.1mm。
今回は交換せずに表面を平らに研磨してからクリーニングします。
左:研磨後
右:研磨前
左:クリーニング後
右:クリーニング前
シムキットも新品交換します。
後側ブレーキの組み付け完了です。
ブレーキ配管のエア抜き
4ケ所のシリンダーからエアーを抜くとともに、ブレーキオイルを交換します。
前側ブレーキのリフレッシュに使用したディクセル製ディスクローターPDとブレーキパットEC。
純正と同コストで、ブレーキフィーリングは「ノーマル+α」になります。
後日、「交換から400KM走行した時点でかなり良く効くようになった」とお客様から報告をいただきました。
新品装着の場合はならし運転をおすすめします。
いきなり急制動はローター歪みを引き起こします。
メーカーで保証もついています。
3回に分けてご紹介するMNH10Wアルファードのリフレッシュ整備。
パート2はここまでになります。
ご覧いただきありがとうございました。
リフレッシュ整備パート3「ATF圧送交換・ACガス偏」へつづく
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