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日高の遺書 加害者家族の悲しい最期

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こんにちは、鈴木曜子です。

事故により一瞬にして幸せな生活が崩れ去り、前途を悲嘆した母親が警察署長宛に遺書を残し、幼い二人の子供を道連れに自殺してしまいました。
その時の遺書を紹介します。

事故は昭和45年6月、北海道日高管内の国道で、38歳の会社員が酒酔い運転で追越しをかけ、対向車と正面衝突し相手方ともにお亡くなりになりました。
この酒酔い運転会社員のご家族は、奥様(38歳)、5歳及び3歳になる二人のお子様がいて、事故の日まで明るい平和な生活を送っていました。

日高の遺書

 私はもう生きていく根気も力もなくなりました。
 署長様、ご承知のように私の夫も死にました。そして相手の人も死にました。夫は自業自得でありましょうから如何様に責められても仕方ありません。でも、後に残った私と子供二人にまでその責任があるのでしょうか?
 私に財産がたくさんあれば、ご遺族の方の気に済むように弁償したいと思います。いくらお金をあげたからと言って亡くなられた人の命を元通りにすることはできませんが…。
 でも、私には何もありません。それでも将来家を建てるために貯金していたお金が97万円ほどあったのでございます。それで、私はこのお金とテレビ、冷蔵庫、洗濯機、洋服ダンス、時計、指輪、夫の洋服等も売りました代金23万円と合わせて120万円をお見舞い金としまして、また夫の退職金をも全部さしあげる条件でご遺族の家に持って行ったのでございます。
 ご遺族のご両親は「こんな少額では納得できないからもっとお金を出しなさい」と申します。
 私はこのお金が全財産でございますからこれ以上のお金を調達することはできませんので幾重にも私の事情を申し上げたのでございます。
 ご遺族のご両親は親戚回りをしても賠償金を出しなさいと申します。でも、夫の親戚も私の親戚も決して余裕のある生活はいていませんので膨大な金額を調達することはとうていできないのでございます。
 すると次に私は働いて毎月1万円ずつ弁済しなさいと申します。
 私のような学歴もなく手職もない人間に何万もする給料を払ってくれるところがありましょうか。たとえ就職できましたところで、弁済金と家賃を払ってしまうと生活費にまでまわすことは出来ないのでございます。どうして親子三人生活すればよろしいのでしょうか。罪のない子供たちと生活だけは近所の子供たちと同じようにしてあげたいと願うのは母として当然のことではないでしょうか。
 子供たちは「お父さんはどうしたの」「なぜテレビがなくなったの」「テレビが見たい」とせがまれます。子供たちは今すやすや眠っております。これからお父さんのもとに行けるのも知らずに!
 署長さん、この小さな子供の命を奪う母をばかな女だとお呼びください。でも、子供を残したなら、あとの子供たちの生活を考えるとあわれでなりません。親子三人でお父さんのもとに参ります。
 ご遺族のご両親のおっしゃることは決してご無理なことではありません。私の夫さえ、酒を飲まずに運転していたならば、決してご子息を死なせずに済んだのでございます。
 私と子供二人の命と引き換えに夫の罪をお許しくださるよう、ご遺族のご両親様にお取り計らますようお願い申し上げます。

 

酒酔い運転をされてお亡くなりになった会社員の方は、自動車保険に入っていらっしゃいませんでした。もし、保険に入っていたら、相手方への賠償金を保険で支払うことができました。奥様の命も、幼いお子様二人の命も守られたのす。私はこの遺書を知ってから、私の使命を強く感じました。

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