直噴ガソリンエンジンの吸気系に堆積するカーボン除去のご紹介になります。

 

ご紹介するお車はクラウンエステートJZS171W

 

 

搭載されているエンジンはTOYOTA D-4 1JZ-FSE

燃料をシリンダー内へ直接噴射するエンジンです。

 

ここで「直噴エンジン」を知らない方向けに簡単な補足説明をいれておきます。

 

直噴エンジンとはエンジンの燃焼室内へ直接燃料を噴射するエンジンをいいます。

略して 直噴エンジンといいます。

 

 

直噴エンジンの利点は、低燃費と高出力であること、欠点は吸気系にカーボンが堆積してエンジン不調になること。

ハイオクガソリンや燃料添加剤を使用しても構造上、その吸気系の洗浄はできません。

 

 

そこで登場したのがワコーズのRECSです。

 

 

 

バルブシート周辺の洗浄によりバルブの密閉性が良くなり圧縮があがりパワーアップという効果があります。

 

軽度のカーボンであれば充分に効果が期待できますが、下の画像のように強固に堆積してしまったバルブのカーボンが落ちるのかというと疑問が残ります。

 

恐らく、完全にカーボン除去をしようとなるとオーバーホール(分解して清掃)かドライアイス洗浄機の使用しか方法がありません。

 

オーバーホールともなれば、時間と費用が相応にかかります。

 

 

そこで登場したのがドライアイス洗浄機を使用したカーボン除去になります。

ドライアイス洗浄機を使用しても、ある程度の分解作業が必要になりますので、時間と費用がかかりますが、オーバーホールに比較すれば半額以下となります。

 

 

先ほど直噴エンジンの欠点として吸気系にカーボンが堆積してエンジン不調になることであるとお知らせしました。

ドライアイス洗浄機を使用して行うカーボン除去は、エンジン不調を予防するための整備になります。

 

 

さて、今回ご紹介するクラウンエステート。

オーナー様は福島県いわき市在住のK様。

 

以前トルコン太郎のATF交換でご入庫いただきました。

片道3時間の遠方からのご利用ありがとうございました。

 

あれから約2年。

 

今回は直噴エンジンの吸気ポートに堆積するカーボン除去のご依頼です。

搭載されているエンジン1JZ-FSEは直噴エンジンになります。

 

 

直噴エンジンですので、吸気バルブへのカーボン堆積が予測され、症状が悪化するとエンジン不調へと陥ってしまいます。

 

先ほど補足説明で紹介いたしましたドライアイス洗浄機を使用したカーボン洗浄が最適ですが、弊社で施工をお受けできる車種に限りがあります。

ご相談いただいた令和3年2月の時点で対応できるエンジンはトヨタのV6GRエンジンマツダのSKYACTIV-D2.2の2種のみとなっておりました。

 

 

なぜ車種・エンジンが限定されているかと申しますと、

理由①

エンジンをオーバーホール(完全分解)することなく吸気バルブを洗浄するものですが、吸気系の洗浄をするにあたり最低限の分解が必要になります。

最低限といっても、分解だけで丸1日かかる場合ややそれ以上かかる車種もあります。

そのため付随作業や付帯作業などの下調べや検証、場合によっては練習なども必要になり、実際の作業時間を予測して採算の取れると判断した車種に限定させていただいております。

 

理由②

物理的に車上で吸気系の洗浄ができない。

一例として、FF車でエンジン横置きの場合、吸気ポートが車両後方(車室内側)を向いている場合は、洗浄機のノズルが物理的に入りません。

トヨタの60系ノア・ボクシーなどがこれに該当します。

 

理由③

直噴エンジンでない。

吸気マニホールドに燃料噴射をするエンジンの場合は、燃料により吸気ポートやバルブは洗浄をすることが可能です。

そのため、カーボンの堆積も比較的少ない状態となっている車種が多いです。

心配な場合はワコーズRECSやフューエルワンの利用で効果が見込めます。

 

対応できる車種の説明(できない言い訳)が長くなってしまいましたが、今回ご紹介するクラウンエステートに搭載されているエンジンは

1JZ-FSE、直列6気筒の2.5リットルエンジンのため上記「理由①」に該当するお車でした。

 

 

吸気系部品を分解するだけでも相当な時間のかかりそうなエンジンです。

 

本当はお断りしたいエンジンなのですが、オーナー様のお車に対する想いに負けてしまいました。

 

 

今回は「自分のクラウンも直噴エンジンのため、吸気バルブにカーボンが溜まっているのではないか」という心配のもとご相談いただいております。

その様なオーナー様からのご相談を簡単にお断りするにも気が引けてしまいます。

 

対応車種を増やすにも先ほどの理由①でご説明した通り、簡単ではありません。

しかし、とは言っても整備性の良いはずのトヨタのエンジンです。

 

FRレイアウトの直列6気筒エンジンですので、洗浄機のノズルも車両左側からアプローチできるはず。

何とかなるか、ということで安易な気持ちで承諾してしまいました。

 

 

そして、入庫日。

 

遠路はるばる、福島県いわき市からご入庫いただきました。

 

 

メールでの詳細なやりとりで連絡事項は済んでおりますので、ご来店時は簡単な確認をして代車にてお帰りになりました。

 

今回は初めての車種ですので、作業時間は余裕をもって1週間と決め早速着工いたします。

 

まずは走行試運転です。

 

 

1JZエンジンらしい気持ちいの良いフィーリングです。

 

低パワーのノンターボ2.0リットルか、ハイパワー3.0リットルエンジンが主流の時代に、初めて2.5リットルエンジンに乗ったときの感動は今でも忘れません。

 

低回転からトルクがあり、高回転までスムーズに吹け上がる。

 

感動の想いでを胸に走行試運転を終え、エンジンは良好なフィーリングした。

 

次に外部診断機を使用しての故障コード確認です。

 

DLCコネクターに子機を差し込み、ダブレットで読み込みます。

 

エンジンの故障コードはなし。

 

 

続いて排気ガスの状態をチェックします。

 

CO HC ともに良好です。

新車からの経過年数、走行距離を考慮すると優秀な数値ですね。

 

 

全ての事前チェックが終了しましたので、作業に入ります。

 

 

 

さあ、ここから頑張って戦っていきます。

 

エンジンカバーを取り外し、ゴチャゴチャの配管や配線をみて怯んでしましました。

 

スロットルボディ―は比較的きれいな状態です。

 

ゴム配管は経年劣化によりカチカチになり、画像のようにひび割れが発生しています。

 

サクサク~っと分解~といきたいところですが、実はかなり大変です。

 

いつも実施しているトヨタのV6GRエンジンと比較にならないほど面倒な構造になっています。

 

そろそろ、心も折れそうです・・・。

 

そんなときは、オーナー様の想いを胸に気持ちをリセット。

 

V6GRエンジンなら1時間で分解完了ですが、4倍かかりました。

 

バルブが見える状態になるまで、すなわち吸気系の部品を全て外すまで半日かかりました・・・。

 

インテーク・マニホールド

 

サージタンク

 

コネクトパイプとスロットルボディ

 

各部のカーボンの付着具合をご覧ください。

ここはオイルにより湿り気ありますね。

 

ここは乾いたカーボン

 

 

ではエンジン側をみてきます。

 

苦労の末、やっとご対面の吸気ポートです。

 

画像は排気ポート側ではなく、フレッシュエアーを取り込む吸気ポートです。

 

吸気側ですが、排気ガスを一部再循環させるEGRとブローバイガスに含まれるオイルにより、湿ったカーボンが付着しています。

 

とても汚い状態となっていますが、エンジンのフィーリングは良好でした。

外からは内部の状態がわからないものです。

 

 

それでは、お待ちかねの吸気バルブとご対面です。

 

 

 

いかがでしょうか。

 

バルブによって堆積具合が異なります。

オイルミストの流れこみやすい箇所と、そうでない箇所があるようです。

 

走行距離と経過年数を考慮するとカーボンの堆積は思いのほか軽度かもしれません。

 

しかし、今後も長くお乗り頂くためにもしっかりと洗浄をしていきます。

 

グリーンテック社製ドライアイスパワーGT-110

 

ドライアイスを打ち付けて汚れだけを除去します。

対象物へは一切のダメ―ジを与えない優れものです。

 

 

専用コンプレッサーを起動し、洗浄機にドライアイスを流し込みます。

 

 

ここからは慣れた作業です。

 

ポート形状、特に向きはV6エンジンよりも良好でノズルが入りやすく洗浄はスムーズに終わりました。

 

 

そして洗浄終了後。

 

吸気ポートのカーボンは完全に除去されました。

 

そして、吸気バルブです。

 

全てのバルブのカーボンが完璧に除去できました。

 

ポートもアルミの地金がみえてピカピカです。

 

自分でいうのもなんですが、撮影した画像を見て鳥肌が立つくらいでした。

 

吸気系の部品も全てきれいになりました。

 

一部の部品はドライアイス洗浄だけでなく、効率を考慮して他の洗浄方法も組み合わせて洗浄しています。

ハイブリッド洗浄ですね。

 

 

それでは、分解した部品を組み込んでいきます。

 

とてもきれいになりました。

見ているだけで気持ちよくなります。

 

 

インテークマニホールド装着完了!

 

こちらもきれいになりました。

 

サージタンクも装着完了!

 

カチカチになってしまっているゴム配管は全て交換しました。

 

この後、順調に組み立てが終わり、バッテリーをつなぎ故障コード確認へと一気に進みます。

 

 

故障コードなし。

 

さあ、エンジン始動です。

長年やっておりますが、この瞬間が一番緊張します。

 

 

キュキュキュキュキュ・・・・。

キュキュキュキュキュ・・・・。

 

あれ!?

エンジンかからない。

 

初爆っぽいものを感じましたが全くかかる気配がありません。

 

静かな工場にクランキング音が響きます。

工場内の空気が重くなってきました・・・。

 

故障コードが出ないので電気的には問題がないはず。

 

かかりそうな気配もあるので、プラグがかぶっているのか?ということで点検してみます。

構造上、5番6番シリンダーのプラグは外すのが大変ですので1番から4番を外してみました。

 

2番と4番のプラグはカーボンで真っ黒。

 

しかし、なぜか1番と3番はガソリンの気配が全くない。

なぜだ?

理由が全くわからぬまま元気なバッテリーをつないで何度かトライを続けると、エンジンがかかりました。

 

が、しかし、明らかに調子がおかしい・・・。

 

エンジン回転を上げると何とか回るが、アイドリングでは今にも止まりそうな勢い。

そうこうしているうちに、チェックエンジンランプ点灯。

 

故障コードを確認してみました。

 

すると見たこともないコードが・・・。

「1315プラグくすぶり」は良しとして「P1215 EDU異常」って何???

 

サービスマニュアルで調べました。

今回の作業でインテークマニホールドを外すために障害となるハーネスの束をずらすという作業をしております。

 

そこで、劣化したハーネスが一部断線したのかも。

と、いういことでハーネスを目視点検するわけですが、前線箇所が見つかるはずもありません。

 

途方に暮れながらも考えます。

 

マニュアルの点検方法に従ってハーネスの導通を調べます。

 

すると、1番と3番のインジェクターとインジェクタドライバー間の導通がありません。

 

あ!さっきプラグを外した時に1番と3番だけガソリンの気配が無かったことを思い出します。

 

ハーネスの導通がなく、1番と3番に燃料が供給されていないのが不具合の原因とまでは分かりました。

 

では、どこで断線したのか?

 

ハーネスはカバーされている箇所も多く、外から見てもわからない・・・。

 

 

気が遠くなってきましたが、マニュアルによると残る点検箇所はインジェクターしかありません。

 

インジェクター?

 

今回の作業では外すどころか触っていません。

 

ドライアイスの冷気で壊れたのか?

そんな訳ないはずですが、抵抗値を測ってみることにしました。

 

半日かけて、苦労して組み立てたインテークマニホールド他、吸気系部品を再度外します。

 

どのような職でもそうですが、仕事のやり直しって気が重いものです。

 

しかし、ここは気を切り替えて、インテークマニホールの取外しをスピードアップするための練習と言い聞かせ作業に取り組みます。

 

マニホールドを外すと、インジェクターの抵抗を測るまでもなく不具合原因がわかりました。

 

 

あああ!

インジェクターのコネクターが折れている・・・・。

 

なぜだ?

そこは触っていないのになぜだ?

 

 

答えは簡単でした。

 

最初の分解時、インテークマニホールドを外す際に事件は起こっていたのです。

 

インジェクターへの配線の束はマニホールドへクランプで固定されています。

クランプからハーネスを外すためには、当然ですが配線を引く必要があります。

 

ハーネスの束を引っ張ると、分岐してインジェクターへつながる配線も引っ張ってしまうという訳です。

ここの分岐しているハーネスの長さに余裕がないためインジェクターのコネクターが破損してしまったのです。

 

原因が分かれば気持ちが上がります。

 

インジェクターは修理できませんので交換が必要になります。

 

今回の件は、オーナー様側には落ち度がございませんので弊社負担での弁償とさせていただきます。

 

 

新品のインジェクターは1本約4万円です。

 

今回の失敗で約9万円超え(税抜き)の損害ですが、次につながる貴重な体験、勉強料ということで自分を納得させて作業を急ぎます。

 

 

インジェクターと必要部品の発注を済ませて作業再開です。

 

インジェクターをデリバリーパイプごと外します。

 

初めての外しましたが、ここにもカーボンが堆積していました。

 

交換しないインジェクターもせっかくなのできれいにしておきます。

 

転んでもタダでは起きない・・・。

 

 

ここで使用する洗浄はワコーズのエンジンコンディショナーです。

 

カップに適量噴射してたっぷり付着させてワイヤーブラシでこすります。

 

すると、どうでしょう。

こんなにもきれいになりました。

 

 

4本すべてのインジェクターの洗浄をしました。

まるで新品のようです。

 

 

吸気バルブとポート、そしてインジェクターまでも完璧にカーボン除去ができました。

 

再使用するインジェクターの洗浄を終えインジェクターの入荷を待ちます。

 

メーカーから出荷されたインジェクターは県内のセンターへ届きます。

そこからオートサプライ鈴木まで到着するのが半日後。

 

今回、私の失敗により納期遅れが生じており、すでにオーナー様へご迷惑をお掛けしております。

 

部品が届くまで悠長に待ってはいられません。

私の奥様でもあるスーパー社員(受付・営業・販売・保険・事務)のY子さんへセンターまで走ってもらいました。

 

Y子さん、いつもありがとうございます。

 

インジェクターが無事にとどきましたので作業再開です。

 

 

組み込む時も同じ失敗をしないよう慎重に作業をすすめます。

 

 

最後にエアクリーナーを新品と交換して組み立て工程終了です。

 

再度故障コード確認、異常なし。

 

緊張のエンジン始動。

 

キュキュキュキュ、ブォォォォン~~~。

 

エンジンかかりました!

 

軽くレーシングすると気持ちよく回転があがります。

 

 

学習値をリセットしているためエンジン回転数が安定しませんが、少しずつ落ちてきました。

 

すると、今度はエンジンが超静かです。

 

エンジン止まってるのではないかと思う程です。

これは、吸気系とインジェクターの洗浄が効いているものと思われます。

 

経年劣化で堆積してしまったカーボンが燃料や空気の正常な流れを阻害していたのでしょうが、今は本来の性能をとり戻しました。

 

 

そして走行試運転です。

 

施工前も気持ちいの良いエンジンでしたが、施工後は明らかにパワーアップしています。

 

スムーズでパワフル。

きっと新車の時はこんな感じだったのでしょうという印象です。

 

最後に故障コードチェックをして作業終了です。

 

今回は通常行う吸気系の洗浄の他、インジェクターまでもカーボン洗浄をしました。

 

今回ご紹介した作業は、テスト的に施工をお受けしているもので、通常の作業メニューではございません。

 

今回のブログを読んでいただき、初めて施工させていただく車種は施工側としてもリスクや困難を伴うものであることがお分かりいただけたと思います。

 

吸気系のカーボン洗浄の対応車種は当面の間、トヨタV6GRエンジンとマツダSKYACTIV-D2.2の2種とさせていただきます。

理由は冒頭でもご説明した通りになります。

 

 

その他、経験としてはマツダSKYACTIV-D1.5を施工しております。

 

今回ご紹介した1JZ-FSEやSKYACTIV-D1.5の施工ですが、条件があえばお受けすることは可能です。

 

条件というのは、施工日程と費用になります。

 

施工を希望される場合はフォームからお問い合わせください。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

 

 

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オートサプライ鈴木では、弊社で使用しているドライアイス洗浄機の販売を開始しました。

グリーンテック社製 ドライアイスパワーGT-110
メーカーHP

レシプロコンプレッサーを使用する場合はGT-110Mになります
製品リーフレット

 

ご希望があれば施工技術の伝承も含めての販売も可能です。

※施工技術の伝承は一定の基準を設けさせていただきます。

 

気になる導入費用の方は、新車のハイブリッド車と同程度となります。

 

詳しくは業者様向けページをご覧ください。

 

勝手な都合で申し訳ございませんが、こちらの件に関しましては、お電話でのご相談はご遠慮ください。