今井様
この度はご入庫ありがとうございます。
こちらのページにて作業報告をさせていただきます。


ご入庫時の走行距離は108,870kmでした。
作業前に走行試運転と故障コードチェックを実施します。

外部診断機での故障コード確認

故障コードなし

ライブデーター確認
吸入空気量が基準値を超えています。
これはEGR経路の詰まりが原因となります。
それでは作業開始します。
まず最初にインタークーラーを外します。



インタークーラー入口側を上、出口側を下に向けて縦に固定します。
これは、インタークーラー内部に付着しているエンジンオイルを除去するための作業です。

部品を分解して洗浄前の様子です。

EGRパイプ

EGRクーラー

入口側は高熱の排気ガスが流れるため煤カーボン堆積はありません。

煤カーボンを含んだ排気ガスはクーラー内部で冷却されるため、出口側に向かって堆積します。

内部はご覧の通りの詰まり具合でした

EGRクーラーバイパスバルブ

EGRバルブ

吸気シャッターバルブ



インテークマニホールド

吸気口が煤カーボンで狭くなってしまっておりました


マニホールド内部の様子です。
ここは吸気圧センサーが装着されている個所になり、くぼみがあるのですが煤カーボンで埋まってしまっておりました。



EGRガスの導入口はご覧の通り塞がってしまっておりました。

パイプを回して反対側を確認します。

反対側もご覧の通りの具合でした。

エンジン側です。

こちらも大量の煤カーボン堆積がありました。




煤カーボン堆積によって吸気口が狭くなってしまっているため内部の様子は見にくい状態でした。

バルブは外から見えないためスコープカメラを使用して確認します。



内部の状態はご覧の通りでした。
ドライアイス洗浄の前に手作業で煤カーボンを除去します。

インテークマニホールドから大量の煤カーボンが排出されました。

700CC取れました。

超音波洗浄機を準備します。

インテークマニホールド、EGRクーラー、EGRパイプ2個の合計4点は超音波洗浄機を使用して洗浄します。

エンジン側はドライアイス洗浄となります。

煤カーボンは全てエンジン外に出てきますので、お車を汚さないように厳重にマスキング養生します。

ポート内の煤カーボンを手作業でホジホジします。


300CC取れました。
ドライアイス洗浄開始です。


洗浄完了後の様子です。







バルブもご覧の通りピカピカになりました。




洗浄前は煤カーボンで塞がっていた「くぼみ」もきちんと見えるようになりました。



EGR導入パイプも新品同様になりました。

吸気シャッターバルブ

ドライアイス洗浄は母材に付着している異物だけを取り除きますので、表面のシミや浸食は取れません。
これをとるには薬品やサンドブラストを使用することになりますが、母材を痛めてしまいます。
見た目は悪いですが、新品と同じ作動、空気の流れになりますのでご安心ください。


EGRバルブ

EGRクーラーバイパスバルブ

EGRパイプ



EGRクーラーは洗浄を試みましたが、内部の詰まりが激しいため新品交換とさせていただきました。
洗浄後は組み立て作業と燃料フィルター交換作業に入ります。


交換部品一式です。

分解個所のガスケットは全て交換します。

取付ボルトはトルクレンチを使用してメーカーの規定値にて締め付けします。

吸気圧センサーは煤カーボンで埋まってしまっているため交換します。




吸気温度センサーはキレイに洗浄できるので再使用します。



EGRクーラーバイパスバルブとEGRバルブを取り付けます。


バキュームチューブが劣化して切れてしまうとターボが作動しなくなってしまうため、予防整備として交換しています。



EGRパイプの取付


ラジエーターアッパーホースはインテークマニホールドに接続されているため交換します。
物理的には再使用が可能ですが、接続部から冷却水漏れを起こす危険性があるため交換しています。



インシュレーターの交換です。
この部品は排気圧センサーと差圧センサーを、ターボとDPFの高熱から守るためのものです。
劣化してセンサーが破損してしまうことのないように予防整備として交換しています。



ラジエーターと接触している部分が凹んでいます。このまま使用していると最悪の場合切れてしまい、オーバーヒートの原因となります。
そのため予防整備として交換しています。


オプションでご依頼いただきました燃料フィルターの交換です。



右側が新品です。


元通り取付して完了です。
インタークーラー内部の洗浄を実施します。

縦に固定しておいたインタークーラーです。

インタークーラー内部に付着していたエンジンオイルが排出されていました。

仕上げにパーツクリーナーを使用して徹底的に洗浄を実施します。

さらにこれだけの量が排出されてきました。
洗浄後は取付します。

インタークーラーの入口と出口のガスケットとホースバンドは再使用ができないため交換して取付します。


取付完了です。


エアークリーナーの交換です。
エアークリーナーが詰まるとEGRガスを多く吸い込むことになってしまい、煤カーボンが堆積しやすくなってしまいます。
今後は2年ごとの交換をおすすめします。

全ての部品の取り付けが終わりましたら冷却水を補充して必要な初期化をかけてからエンジンスタートします。

洗浄後の吸入空気量も基準値に戻りました。

インジェクター噴射量の初期化を実施して完了となります。

作業後に故障コードが入っていないことを確認して作業完了となります。
必要な初期化は完了しておりますが、洗浄後の状態にあった学習は、これから走行しながら走行するたびに少しずつ熟成されていきます。
その過程で、洗浄前とは異なったフィーリングや違和感を感じられることもありますが、車の自己学習で解消されていきますので心配ございません。
ただし、明らかに故障レベルのものや警告灯の点灯などがあった場合はすぐにご連絡ください。
お渡しするCDロムの中に「2025.05 アテンザ ドライアイス洗浄」という名称のフォルダーがあります。
その中に「記録用画像 ビフォアー・アフター」と「作業者画像」の2つのフォルダーがあります。
「記録用画像 ビフォアー・アフター」には名称の通り記録用の洗浄前後の画像が入っております。
「作業者画像」には作業者が作業しながら撮影した画像が入っております。
このページでご紹介した画像は、撮影した画像の一部となります。
フォルダーの中にはすべての画像とドライアイス洗浄風景の動画が入っております。
フォルダーごとパソコンへコピーペーストしてからご覧いただければ幸いです。
本来であれば、お引取りご来店時に画像説明をさせていただくのですが、今回は私鈴木が不在のためこのようなご説明とさせていただきました。
なにかご不明な点やお気づきの点などございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
最後に、この度はオートサプライ鈴木へのご入庫ありがとうございました。
またお役に立てることがございましたら、いつでもご相談ください。
またの機会のご入庫をお待ちしております。
有限会社オートサプライ鈴木
鈴木 政明