ご紹介するお車は 平成27年式 DK5AW マツダCX-3 XDです。
ドライアイス洗浄による吸気系カーボン除去、マルチサーブDPF洗浄、トルコン太郎によるATFオイル全量圧送交換のご依頼です。
東京都台東区からご入庫いただきました。
数ある自動車整備工場の中から、オートサプライ鈴木をご指名いただきまして誠にありがとうございます。
車両情報
車名 | CX-3 | メーカー | マツダ |
型式 | LDA-DK5AW | グレード | XD |
初度登録年月 | 平成27年5月 | 入庫時走行距離 | 195,576 km |
走行距離は195,576km
新車から8年経過で走行距離20万KMですので、年間走行距離は約2.5万KMです。
当店ウェブサイトお問い合わせフォームから以下のご相談をいただきました。
お問合せ内容
12月31日にDPF警告灯が点滅し、1月5日にディーラーで確認をしてもらったところDPF燃焼のサイクルが極端に短くなっているとのことでした。
走行距離が走行距離ですし、走行時の症状を鑑みるに、吸気と排気の両方にスス詰まりが起きていると考えています。
ディーラーでは、DPF関連の部品を総交換して、60万円以上の費用が掛かるとの概算でしたので、乗換を進められました。
しかし、出来ればこのまま乗り続けたいと考えております。
以前からエンジン内部のドライアイス洗浄とATFオイル圧送交換に興味があり貴社ホームページを拝見しておりました。
つきましては、下記内容でお見積りを頂く事は可能でしょうか。
①DPF洗浄
②エンジン洗浄
③ATFオイル圧送交換
また、おすすめの作業内容がありましたらご教授頂けますと幸いです。
お手数をお掛けしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
その後、何度かメールでのやり取りを経て、以下の整備内容に決定しご入庫いただきました。
今回のご依頼作業
①DPF洗浄⇒マルチサーブによる洗浄
②エンジン洗浄⇒ドライアイス洗浄
③ATF交換⇒トルコン太郎による圧送交換
実際の作業の順番は、②ドライアイス洗浄、①マルチサーブDPF洗浄、③トルコン太郎ATF交換となります。
それでは、順番にご紹介します。
エンジン吸気系カーボンドライアイス洗浄
マツダSKYACTIV-D1.5エンジンの吸気系カーボンをドライアイス洗浄にて除去します。
2.2Dのドライアイス洗浄の入庫実績は100台を超えていますが(令和5年3月現在)、1.5Dも気が付けば数十台の作業実績となりました。
1.5Dのドライアイス洗浄も2.2D同様、熟成の域に達してきました。
それでは、作業に入ります。
当初、お問い合わせフォームにてお知らせいただいていたDPFの警告灯が点滅しています。
診断機にて確認をすると、DPFの再生頻度に問題あり。
次に走行試運転です。
発進加速時のターボが効きだす回転数になると、突然エンジンがガクガクして加速しません。
まるで、リミッターがかかっているような動きです。
ゆっくり(ターボを効かせないように)走れば、何とか走れますが、これでは普通に走れません。
この症状が、DPF警告灯を点灯させているのか不明ですが、走行距離が20万KMということを考えると、吸気ポートにカーボンが大量に堆積していて、加速時に吸入空気量が足りてないのか?との予測で走行試運転を終えました。
その後、ライブデーターを画像で記録を取って作業開始です。
それでは、エンジンを分解していきます。
EGRパイプを外します。
カーボンは少な目です。
マニホールド側をのぞいてみます。
こちらもカーボン少な目で、内部はオイルの付着があります。
EGRバルブ
EGRパイプ
吸気シャッターバルブ
ブローバイによるオイルの付着があります。
2.2Dとは、構造が異なるため、ここには大量のカーボンが堆積しませんが、汚れ具合は画像の通りです。
このインテークマニホールドの特徴として、ある程度使用すると、エンジンオイルが漏れてきます。
これは、樹脂(プラスチック)製であるがゆえに、経年で熱による歪が発生してしまうのが原因かと思われます。
インテークマニホールドが外れました。
走行距離20万kmのお車ですが、想像していた状況と異なり煤カーボンの堆積は極僅かです。
ブローバイからのオイルにより煤カーボンは湿り気があります。
インテークマニホールドに内蔵されている水冷式インタークーラーです。
こちらは入口側です。
オイルで汚れているものの、煤カーボンの堆積はゼロ。
吸気温センサーです。
こちらも湿り気のある煤カーボンですが付着は少な目。
吸気圧センサーです。
ご覧の通りです。
水冷式インタークーラー、EGRパイプは超音波洗浄機にて洗浄します。
いよいよエンジンの吸気ポートです。
こちらもオイルの湿り気のある煤カーボンが付着しています。
堆積量は少な目です。
インテークバルブのシャフトもキレイに見えるのがわかります。
インテークポートの奥底は、外から肉眼で見ることができません。
見えないところですが、ポート洗浄の一番のポイントですのでしっかり状況を確認します。
ポート入口には煤カーボンの付着は少なかったですが、外から見えないバルブには大量に付着していました。
それではドライアイス洗浄の準備を開始します。
吸気ポート内部のカーボンは、すべて吐き出しますので、エンジンルームやボディを汚さないよう厳重に養生をします。
グリーンテックジャパン製 ドライアイスパワー GT-110
3mmのドライアイスペレットを30kg用意しました。
ドライアイスペレットをドライアイス洗浄機へ投入します。
吸気ポートにドライアイスペレットを打ち込んでいきます。
ドライアイスが当たった箇所はご覧の通り地金が見えています。
EGRバルブと吸気シャッターバルブもドライアイス洗浄を使用して煤カーボンを除去していきます。
特に吸気ポートは、奥の方までキレイに洗浄することが大変ですが、根気よく打ち込んでいきます。
吸気ポートのドライアイス洗浄が完了しました。
ポートの地金はここまでキレイになります。
ポートはピカピカです。ドライアイスパワーの成果です。
そして、ポート奥底は外部から肉眼で見ることができませんので、ファイバースコープを使用して確認します。
※画像は洗浄前のものです。
ご覧の通り、ポートの奥底も、インテークバルブもピカピカになりました。
外からは見えない部分ではありますが、ポート洗浄で一番大切な部分になりますので、手を抜く事なく完璧な洗浄を実施しました。
他のパーツも洗浄完了です。
水冷式インタークーラー
吸気シャッターバルブ
EGRバルブ
EGRパイプ
EGRパイプ
洗浄が完了しましたので、折り返しの組立工程となります。
スカイアクティブ1.5Dエンジンの場合、インテークマニホールドは樹脂製のためオイル漏れの発生がありますので、原則として新品交換します。
必要なガスケットは全て付属して破格値で提供されています(マツダさんに感謝ですね)。
水冷式インタークーラーを収納します。
吸気圧センサーは新品交換します。
マニホールドに装着完了。
吸気温度センサーは、キレイに洗浄して再使用します。
マニホールドに装着完了。
インテークマニホールドを取り付けします。
その他、各部品を取り付けします。
エアクリーナーは新品に交換します。
インタークーラーの冷却水を充填してキャップを新品と交換します。
ラジエーターに冷却水をいれます。
故障コード確認、必要な初期化、セルフテスト実施します。
問題がなければエンジンスタートです。
エンジンは、何事もなかったように一発でかかりました。
冷却水のエア抜きを行ってから、ラジエーターキャップを新品と交換します。
ドライアイス洗浄後、走行試運転を実施して問題がないことを確認しました。
続いて、マルチサーブによるDPFの洗浄です。
マルチサーブ洗浄機をセットします。
マルチサーブDPF洗浄専用の洗浄液です。
1番の洗浄液を機械に充填します。
1番洗浄液の工程が完了しました。
2番のすすぎ液を機械に充填します。
すすぎ液をDPFに流しこんだら、エンジンを2,000~2,500rpmにあげると、
このように、泡となってDPF内部の汚れがマフラー出口から排出されてきます。
充分に排出をしてから走行試運転、最後に強制燃焼を実施してDPF洗浄の完了です。
その後、走行試運転を実施しました。
吸気系もEGR系も、DPFもご覧の通り、ピカピカ・キレイになったので、絶好調だろうとアクセルを踏み込んだその時です。
作業前の試運転で確認した、加速時のエンジンがガクガクして加速しない症状が直ってしません・・・。
え~~~っ、直ってないじゃ~ん。
それから、診断機を見ながらテストを重ねて、あることに気が付きます。
今回のブログは非常に長くなってしまったので、次回に続きます。
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【注意】動画は音が出ます。
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1~5は、車検証に記載がある項目です。
メモ
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- 車台番号
- 型式
- 型式指定番号(5桁の数字)
- 類別区分番号(4桁の数字)
- 車名・車種
- 現在の走行距離
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